情報システム部の社員に向かないデバイス管理、アカウント管理

携帯電話やノートパソコンの出現で、もはや近年は、1人1台、あるいは2台のパソコンとスマートフォンは、もう当たり前の時代になりました。 さらに、タブレットや モバイルWi-Fiなども会社から支給されるようになり、情報システム部門で管理するデバイスの種類が急激に増えています。


こうしてデバイスの数が増えると、アカウントの数も増えていきます。そして、デバイスとアカウントの管理の仕事も増えていきます。例えば、 オフィスの社員が100名いれば、携帯電話、パソコンだけでもひとり1台として、 デバイス数は200にもなります。さらに、iPadなどのタブレットを支給してしまうと、たちまち250とかに増えていきます。

さらに、経理や、人事等、デスクワークの多いスタッフは、ディスプレイの大きいデスクトップを好む社員が多く、結果として、ノートパソコンとデスクトップの2台のパソコンを持つことにもなります。そうすると瞬く間に300近くのデバイス数になります。

iPadについては、最初は本当に必要な少人数に支給をするのですが、「私も」そして、さらに「私も必要」といった具合にどんどん増えていくのです。そして「業務に必要であるから」と言う理由でどんどん支給をしていきますが、実際のところは「鈴木さんが持っているのに、どうして田中さんは持っていないの?」といった人間関係のパワーバランスや嫉妬心がほとんどの理由です。こうして、デバイスやアカウントの数は増えていくのです。


新入社員が入社するだけでも、メールアドレス設定、基幹システムや業務システム、アプリケーションのアカウント取得、携帯電話の新規契約、パソコンの手配とキッティングというように多くの作業があります。

そもそも、こうした数が多いモノに対する管理は、適性としては、経理とか、総務といった部門にいる几帳面で忍耐力や継続力のある社員が向いています。すなわち、アカウント発行、デバイスの新規購入、退職者のパソコンを新人に割り当てることや古くなったパソコンの廃棄や退職者のアカウントの無効化、それに加えて台帳管理をするといった仕事は、情報システム部門に所属した者には、あまり適しません。


なぜならば、彼らは、新しい技術や、ユーザへの利便性を増すためのサービスの構築と提供、システム導入のための現状分析とあるべき姿の業務分析やそのフローチャート作成、アプリケーションの運用やデバイスのネットワークへの接続といったことを得意としています。「資産管理」という仕事については、そもそも 情報システム部門で働くのに彼ら自身も期待をしていなかった ことなのです。

パソコンの管理については、アウトソースできるベンダーも増えてきました。 コストはかかりますが、その分、台帳管理や、パソコンの入れ替えなども彼らで行ってもらえます。しかし、 ベンダーに対して任せきりでもよくないので、一般的には、ネットワークの資産管理ツールを導入する会社が多いかと思います。このツールは、ネットワークに繋がっているパソコンを特定でき、そのウインドウズのバージョンもわかります。さらに、ログ管理やアプリケーションの配布ができるという便利なモノなのです。

しかし、IT資産管理やネットワーク・セキュリティを統合管理するツールを導入したらしたで、WindowsやiOSのバージョンアップが正常に行われているかというバージョンの確認作業や、長期間ネットワークに接続していないパソコンの所在確認についてモニターし、定期的に報告をする必要があります。

また、たとえベンダーに作業を任せたとしても、間違いや情報の行き違いが発生することが多々あります。例えば、貸与パソコンのユーザが変更したのにパソコンを管理しているベンダーへの連絡がなく資産管理台帳に反映されていなかったり、あるいは、退職者が出たのにアカウントがそのまま残っていたり、といったケースで、チェックの仕事が増えるのです。

資産管理やバージョン管理の仕事は、日常ではさほど影響がありません。 つまり、やっていても、やっていなくても、日常の業務はまわるのです。さらに、社内SEのようには注目されず、 できて当たり前の仕事であって、実に地味で根気のいる仕事なのです。こうした仕事の適任者は情報システム部門に存在しないため、結果的には、事務の派遣社員にお願いしたところ、ITのバックグラウンドがなくてもしっかりと管理をしてもらうことわかりました。

みなさん、パソコン台帳の管理はうまくいっているでしょうか。 情報システム部門のマネージャーが、こうした地味な仕事に関心を持たないと、たちまち、倉庫やサーバルームに使用していないパソコンやタブレットが数十台山積みにされてしまいます。 オフィス社員がわずか200名足らずにも関わらず、予備のパソコンだけで100台近くになるといったことが本当にあるのです。一度、担当者と実際の保管倉庫を調べてみてください。そこには驚きがたくさんあるはずですから。

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