何とか乗り切るICTプロジェクトマネージャー(第1回)

業務改善活動では、情報システムの導入や改修をせずに進めることができなくなっています。昭和の時代は、手書きのフォーマットを変えたり、書類の回覧ルートを変え、社内ルールを作ることによって何とか進めていました。

しかし、オフィスや現場でも情報システムにさまざまなデータを入力し、それらシステムからレポート等の情報を得ています。

ですから、業務改善を行うのであれば情報システム導入やその改善は不可欠になっています。また、新たなビジネスを展開するにしても、情報システムなしではビジネス自体を構築することはできません。

一見、情報システム部門とは関わりのないような営業の案件であっても最終的には、売上登録や受注管理などが発生すると、必ず、最後にはICT部門のところに回ってくるのです。

こうして、ICTプロジェクトマネージャーは、情報システムを導入し改善するのになかなか休まることがありません。

ここでは、ICTプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトの提案から承認、そしてクロージングまで、これまでの経験について皆さんと共有してお役に立てればと思っています。

 

■はじめに

これまで業務改善プロジェクトはもとより、会社の立上げやシステム導入といったさまざまなプロジェクトに携わってきました。それは、国内ばかりではなく、海外との混成チームで行ったり、ベンダーさん数社を束ねて行ったりといったものでした。外国や企業それぞれでのカルチャーが異なる中で、それらをプロジェクトリーダーとして何とか調整しながらチームリーダーとしてまとめてきました。

ここでは、これからプロジェクトにメンバーとして関わっていこうとする若手の方々はもちろん、すでにプロジェクトを経験されていらっしゃるリーダーの方々で今のやり方でい良いのかどうかと、疑問をお持ちの方々にも私の経験から何かお役に立つことがあればと思います。

そもそもプロジェクトとは、一般的には、「特定の期間内に、特定の目的を達成すること」と言われています。しかし、その正しい進め方の定義は絶対的なものでははないと思っています。プロジェクトの進め方で代表的なものでPMBOKというものがあります。しかし、これも西欧の文化下で開発されたもので、日本の文化にそのままピッタリ合うというわけではないと思っています。

日本の企業では、いわゆる「盛り上がり」がとても大切です。一気に盛り上がり、そのままプロジェクトを進めていき、ゴールまでスピード感を持っていくということが成功のカギになります。これは日本人の文化的特性によくあっています。一気に盛り上がって一気に下がる、という日本人特有の気質がありますのでこの流れを利用するのです。

逆に、ダラダラと長く続くプロジェクトで、成功したプロジェクトはあまり記憶がありません。ほぼ、空中分解になったり、途中で止まったりしました。おおよそ、うまくいくプロジェクトは長くて半年以内です。対象となるスコープが複数あって、2年あるいは3年かかるようなプロジェクトもありましたが、それでも、第一フェーズ、第二フェーズと分け、それぞれ6ヶ月以内で終わらせるようにしました。

業務改善による情報システム導入や既存のシステムの改修プロジェクトの中で、これまで実際に私が経験した出来事や、プロジェクトの進め方で、ここは大事にすべきだった、こうしたことでうまくいった、ということについてご紹介しながら進めていきたいと思います。

 

 

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